うつ病になると医療費でお金がかかったり、休職して収入が無くなったりとお金に困る事が増えると思います。
ただ国の支援制度で医療費の減額であったり休職中の収入の補償や働けなくなった場合の年金制度があり、上手に使うことによって負担を軽減できます。
この記事では代表的な制度を5つ紹介します。
目次
①自立支援医療
うつ病の患者さんが受けられる制度の中で、1番一般的なのが自立支援制度かと思います。
自立支援医療(精神通院医療)とは、主に通院しながらの精神医療を続ける必要がある方の通院医療費の自己負担を軽減するための公費負担医療制度のことを言います。
- 一般の方は公的医療保険で3割負担しているが、それが1割にまで軽減される(生活保護受給世帯は0円負担)
- 医療費の負担額に収入に応じた上限額がある(下記参照)
詳細の加入条件、注意点などは下記記事を参照ください。
②傷病手当金制度
傷病手当金とは、保険料を納めている被保険者が病気や怪我により仕事を休まないといけなくなった時に最大1年6ヶ月収入の7割をもらえる、とてもありがたい制度のことです。
- 支給される金額は、傷病手当金支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額の2/3の金額であるということ
- 支給開始日以前の期間が1年未満だと、それ以前の期間の平均額又は30万円のどちらか低い方
詳細の加入条件、注意点などは下記記事を参照ください。
③精神障害者保健福祉手帳
あまり知られていない制度ですが、うつ病患者さんは精神障害者保健福祉手帳を取得できます。
精神障害者保健福祉手帳の取得条件
うつ病が原因で診察を受けた初診日より半年以上経過している事。
精神障害者保健福祉手帳の等級
利用可能なサービスとメリット
- 公共料金等の割引
- 様々な税金の控除・減免
- 生活福祉資金の貸付
- 手帳所持者を事業者が雇用した際の、障害者雇用率へのカウント※障害者雇用での就職・転職活動ができるという事
様々なメリットがありますが、一番大きなメリットは④の障害者雇用での就職・転職活動ができる事ではないでしょうか。
障害者雇用促進法で、45.5人以上の従業員数を雇っている企業は、従業員数の2.2%以上、障害者の労働者を雇用しなければいけない事から、精神障害者保健福祉手帳を持っていると就職に有利と言えるでしょう。
その他地方自治体によって実施しているサービスは異なりますので必ず確認する様にしましょう。
手続き
各市町村窓口で下記書類を準備して手続きをおこなう様にしてください。
- 精神障害者保健福祉手帳申請書(市町村窓口で入手)
- 診断書(医療機関で入手)
- 本人の顔写真
- マイナンバーがわかるもの
注意点
審査により等級が決まり審査機関は長くて約2カ月程度なので、取得を考えている人はなるべく早めに申請するようにしましょう。
また、有効期限は交付から2年となっており、更新の度に診断書又は年金証書等の写しを提出する必要があります。
④障害年金
障害年金は、病気やケガによって普段の生活や仕事が制限されるようになった場合に限り、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金となっています。
障害年金の種類
①「障害基礎年金」
国民年金加入者が受け取れる年金です。
②「障害厚生年金」
厚生年金に加入している間に障害基礎年金の1級又は2級に該当する障害の状態になった時に、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給される年金です。
受取条件
①「障害基礎年金」受け取る条件
通常、国民年金に加入しており、うつの症状が法令により定められた障害等級表(1級・2級)による状態にある時は受け取る事ができます。
なお20歳以前は納付要件なく受け取る事が出来ます。
※なお障害基礎年金を受けるためには、初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること(保険料納付要件)が必要です。
- (1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
②「障害厚生年金」受け取る条件
通常、厚生年金に加入しており、うつの症状が法令により定められた障害等級表(1級・2級)による状態にある時は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。
また、障害の状態が2級に該当しない軽い程度の障害のときは3級の障害厚生年金が支給されます。
なお、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには障害手当金(一時金)が支給されます。
※障害厚生年金・障害手当金を受けるためには、上記の障害基礎年金の保険料納付要件を満たしていることが必要です。
<参考>障害年金の等級
⑤労災補償
パワハラや不利益な配置転換などの仕事が原因でうつ病になった場合は、労災補償を受けることができます。
労働補償内容
- 労災認定をされた場合は、自己負担額なしで医療を受けることが可能
- 休業をする場合は労働賃金の8割をもらえる
対象者
業務上の理由でうつ病にかかった全ての社員(アルバイトなど勤務形態は関係ありません)。
手続きの流れ
会社が労災を認めている場合は、『療養(補償)給付』などの手続きに必要な申請書を会社側で用意してくれ、手続き自体も会社が代行してくれます。
会社が否定している場合や、退職後で会社が手続きを取ってくれない場合は、労働基準監督署へ以下を提出する必要があります。
- 申請書(労働基準監督署で入手)
- 参考となる資料(タイムカード、録音、供述書など)
注意点
労災認定を受けられれば治療費も自己負担なしで休業補償も受けられるためメリットは大きいです。
しかし、うつ病はさまざまなストレスが原因で発症する病気なので、仕事が原因だと証明する事が難しく、また会社に対しこれを申請すると言うのは精神的にも大変ハードルが高いと思います。
まとめ:うつ病になったら、申請出来る支援をちゃんと知り、利用しましょう
- 自立支援医療
- 傷病手当金制度
- 精神障害者保健福祉手帳
- 障害年金
- 労災補償
以上の様に、うつ病になったら利用したできる支援をまず知る事が大切。
その上で自分が利用できる支援は積極的に利用して行きましょう。
後で申請していればよかったなどの後悔がない様にしましょう。
以上、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。